『つかこうへい革命ミュージカル ダブルス 「飛龍伝」「幕末純情伝」』が11月5日より、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて開幕。初日を前に、『飛龍伝』の舞台挨拶と公開ゲネプロが行われた。舞台挨拶には、Wキャストで主人公を演じる村山彩希、岡田奈々のほか、共演の高橋龍輝、荒井敦史、百名ヒロキ、そして演出の中江功が登壇。稽古場でのエピソードを交えながら、初日への思いを語った。 『飛龍伝』は、学生運動が激化する時代を背景に、全共闘と機動隊の対立、そして敵味方を超えた愛を描く、つかこうへいの代表作。全共闘40万人を束ねる委員長・神林美智子を村山と岡田がWキャストで演じるほか、2人が結成した新ユニット「YUNARIS」の新曲も劇中で披露される。
演出の中江は「『飛龍伝』はつか作品の中でも、本当にやりたかった作品の一つ。やっとできることになり、すごくうれしい」と喜び、稽古場では「圧倒的な難しさと面白さ」に向き合ってきたと振り返る。「過去のつかさんの声を聞いている人間が多かったので、つかさんの匂いを感じながら、今回の人たちの体温と汗を混ぜていくような作業でした。過去の上演にも負けない秀作になると信じている」と語った。
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村山は「『飛龍伝』と『幕末純情伝』の2作同時はチャレンジでした。演技が嫌いだった自分が、こんなに演技を好きになって、積極的につらい方向へと向かっています。AKBを辞めてからも挑戦する場所があるという贅沢な環境に、幸せを感じています」と語った。また、「10年以上仲良くしているなーちゃん(岡田)とステージに立てることもうれしい! 全く違う神林美智子になっているので、ぜひ楽しんでいただけたら」と呼びかけた。
続く岡田は「私もお芝居がすごく苦手で、先輩の村山さんがつか作品に挑戦していなかったら、今回やっていないと思う」と告白。「頑張る姿を去年からずっと見ていて、追いつきたい、追い越したい、やってみたいという気持ちが生まれました」と出演の経緯を明かした。Wキャストについては「勉強にもなるし、悔しい気持ちにもなる。14年の中でめっちゃ仲いいけど、こんなバチバチすることあるんだと思いました」と話し、自身の初日となる6日に向けて「頑張りますので応援よろしくお願いします」と呼びかけた。
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第四機動隊隊長の山崎一平を演じる高橋は「(山崎は)ひたすらまっすぐな男。毎回稽古から、こういう男になりたいなと思いながら演じてきました」とコメント。「本番では2人を愛して、輝かせられるよう精いっぱい頑張りたい」と意気込んだ。
全共闘作戦参謀本部長の桂木純一郎に扮する荒井は「(以前演じた)『熱海殺人事件』の木村伝兵衛も大変難しい役でしたが、桂木が一番難しい、と思いながら日々稽古をしていました」と明かし、「今も悩んでいますが、本番はがむしゃらにやって、皆さんの心に何か届けば」と語った。
機動隊副隊長役の百名は「つか作品は、俳優として、人間として、全てがお客様にバレてしまうと思っている。目の前の相手にどれだけ本気でぶつかれるかが怖いけれど、すごく面白いから、また出てしまいました」と語り、「村山さん、岡田さんが美しく輝くように、男たちが汗をかいて頑張ります」と宣言した。
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◆クリアな村山&岡田の声が醸し出す優しさの中に力強い芯
約1ヵ月の稽古期間について、岡田は「最初は自分から話しかけに行けなかったけれど、周りの方がお芝居の話以外でも声をかけてくださって、うれしくてびっくりしました。私が後から入っていく感じなので、もっと突き放されるかと」と振り返る。一方の村山は「2作同時のプレッシャーはありました。分かっているのにできなくて、一回噴火して(笑)」と、稽古中に一度、稽古場を離れたことを告白。「泣きはらして戻ったら、皆さんが何に悩んでいるのか、どうしたらいいのかを積極的に考えてくださった。そのおかげで美智子ができあがったと思います」と感謝を述べた。
そんな2人を、中江は「元はグループ(AKB48)にいた2人なので、本当は仲が悪いんじゃないの?と意地悪な目で見ていました(笑)。実際はとても仲が良かったし、忌憚なく言い合っていました」と稽古場の様子を明かす。「それに、歌と踊りが本当に上手い。『本当に生だ』と毎日感心して聞いていました」と称賛した。
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別作品でWキャストの現場を経験している荒井は、「どんなに仲が良くても、ダブルってギクシャクするもの。だから、ずっと『今のうち揉めとけ』と思って見ていて……(笑)」と笑い飛ばしつつ、「でも変なギスギスではなく、いい切磋琢磨をしていた」と2人を評価。百名も「村山さんは今まで女性が一人だったので、岡田さんが来て“座を取られる!”と必死だったと思う」と冗談めかして話した。
最後に村山は「どちらのバージョンも見ていただきたい。2作同時に出演するので、違う私が2人いるところと、成長した私をお見せできたら」とし、「学生が千円ということで、若い方に届けたい気持ちがあります。今ある幸せを改めて感じる作品になっている気もするので、勉強としても、プライベートでも来ていただきたい」と呼びかけた。岡田は「全部(村山が)言ってくれた(笑)。あとは何を言ったらいいだろう……絶対、勝ちます!」とライバル心を見せ、互いに高め合うような本番を誓った。
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ゲネプロでは約60分の一部内容が公開。特別に、途中で村山と岡田が入れ替わる形で上演された。序盤に登場した村山は、田舎から上京したばかりの純朴な少女から、導かれるように全共闘の代表へと突き進む変貌を情熱的に好演。アクションを含め体当たりで美智子役に食らいつき、男たちに翻弄されながらも委員長として成長していく姿を見せつけた。後半に登場した岡田は、機動隊との折衝で委員長という立場の重さ、その悲しさと覚悟を全身に滲ませていく。革命に男も女もない、と言われながらも、どうしようもなく“女”であることを突き付けられ、慟哭のような決意を叫ぶ直情的な美智子を全身全霊で演じていた。
つか作品ならではの、血が煮えるような熱量で浴びせかけてくるセリフに圧倒される一方で、劇中で流れる「YUNARIS」の楽曲は清涼剤のように軽やかに響く。クリアな2人の声が醸し出すふわりと柔らかい優しさの中には、たおやかで力強い芯も感じられ、作品の勢いをさらに高めていた。2人が美智子の歩みをどのように体現していくのか、ぜひ見比べてほしい。
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(取材・文:宮崎新之)
『つかこうへい革命ミュージカル ダブルス 「飛龍伝」「幕末純情伝」』は、11月22日まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演中。『飛龍伝』は15日まで、『幕末純情伝』は18日から、主人公・沖田総司を村山が演じ、坂本龍馬を百名、勝海舟を荒井が演じる。
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