熱烈なファンを持つ『天体戦士サンレッド』がアニメ放送終了から16年の時を経て、遂に舞台化。アニメで主要キャラを演じていたキャストに加え、今回は新たに演劇界で活躍する俳優陣が参加する珍しい布陣が成立。独特のサンレッドワールドはいかにして生まれていたのか? アニメから続投の髭男爵(山田ルイ53世、ひぐち君)と、舞台版から参加する塩野拓矢(梅棒)、大海将一郎がサンレッドの魅力について大いに語り合う。
◆腰に爆弾を抱えた満身創痍の山田ルイ53世によるヴァンプ将軍
――髭男爵のおふたりは、アニメ版に悪の組織フロシャイムのヴァンプ将軍&戦闘員1号役として声優として出演されていました。舞台化のオファーに対してどう思われましたか?
山田ルイ53世(ヴァンプ将軍役):お話を頂いたのはけっこう前でしたが、とにかく腰の調子がいちばん良くないときで、立ち上がったら一歩も動けないってことが1日に2度くらいある状態でした。
ひぐち君(戦闘員1号):腰は本当にヤバかったからね。
山田ルイ53世:これはさすがに迷惑をかけるので無理だと思ったのですが、ただ、こっちから断るのも偉そうなので、難易度が高めの条件を8個ほど伝えたんです。なるべく走らないようにしてくださいとか。そんな面倒くさいこと言うなら出なくていいよってことになるかと思ったら、制作チームの方がその条件をごくごく呑みはって。
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――条件があっさり通ってしまった?
山田ルイ53世:そうなんです。できることになってしまったという。今から思うとありがたいことですけどね(笑)。
――大海さんは新たにサンレッドチームに加わるわけですが、原作&アニメの『天体戦士サンレッド』はご存知でしたか?
大海将一郎(ナイトール/ナイトマン):当時、アニメを見ていました。『サンレッド』ってふと見たくなる作品なんですよね。舞台となっている川崎も好きですし、シンパシーを感じていたので携われることになってうれしいです。
――アニメで声優をされたオリジナルキャストの方との共演はいかがですか?
大海:髭男爵のおふたりだけでなく、たくさんの先輩がいらっしゃるので失礼があっちゃいけないっていう気持ちで……正直、まだ馴染めきれていない気がしてます。出演しないシーンの稽古を見ていると「わあ、サンレッドだあ」って楽しんで拝見しちゃっています。
山田ルイ53世:キミはなんかお行儀がよすぎるなぁ!
――塩野さんは『サンレッド』がお好きだったとか?
塩野拓矢(振付/シークレットキャラ):僕にとっては青春の作品です。ニコニコ動画でずっと見てましたらね。当時、日常をシュールに面白く切り取る世界観のアニメってなかったんです。コマ数が少なくて、カクカクする感じも良かったし、あの空気感は唯一無二で大好きでした。
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――今もあまりない独特な雰囲気がありますよね。
塩野:レッド役の高木(俊)君に聞いたんですけど、アニメには本職が声優さんじゃない方がけっこう参加されていたそうです。監督さんが飲み屋で会って面白いから連れてきた人とか。そういうノリがあの空気感を作っていたんだなと思って嬉しくなりました。
◆当日までシークレットな役も!?
――今日は稽古場にお邪魔してお話を聞いてるのですが、稽古場の雰囲気は?
山田ルイ53世:我々はまだあまり稽古に参加できていないので、ドキドキしています。まだ誰が何の怪人なのかよく分かってないんですよ。ただでさえ人の顔を覚えるのが得意じゃないのに、みなさんひとり何役もやるので誰がなんの役か分からない。ちなみに大海さんは何の役?
大海:僕はナイトマンとナイトールと……(ごにょごにょ)。
――いろいろキャスティングに関しては言えないところもあるんですよね?
大海:はい。
塩野:僕もシークレットで役名は発表されてません。
山田ルイ53世:なんなん? 言えない役があるってどういうこと!?
ひぐち君:僕、塩野さんのキャラクターと共演させて頂いていますよね? アレも言っちゃいけない?
塩野:そうですね……えっと……原作ファンの方は分かるんですけど……当日までシークレットってことになってるんですよね。
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――すでに『サンレッド』の世界に入り込んだようです。本編でこういう会話ありそうです。
塩野:髭男爵のおふたりが揃うとまさにサンレッドの世界になるんですよ。
山田ルイ53世:そりゃあアニメの声優をやってましたからね。そして私はアニメが終わってもここ10数年、原作のくぼたまこと先生がSNSにアップしたヴァンプ将軍のイラストにひとコマ、ふたコマ、勝手に声を当てるってことをライフワークとして行っていましたから。なのでヴァンプ将軍はずっとキープしています。というかヴァンプ将軍をやるスタミナはこの17年ずっと持ち続けています。
――まさにライフワークですね。
塩野:稽古のほうも順調で、ここ何回かの稽古で音楽をつけてるんですが、かなり面白くなってきてますよ。
山田ルイ53世&ひぐち君:えっ? もう音楽が入った稽古やってるの?
山田ルイ53世:こ、これは恐れていたことが起きてますよ。うーむ。いかんなあ!
ひぐち君:僕らはまだ2回ほどしか稽古に参加できていないので……。大海さんは稽古初日からセリフを全部入れてきて完璧でしたよね?
山田ルイ53世:余計なことすんなよ~! この点取り虫が~~(笑)。
大海:とんでもない! 実は僕もあんまり稽古に出られていないんです。別の本番があったので、昼間に稽古に来て、夜は移動しなきゃいけなくて……なので必死にセリフを覚えて初日の稽古に伺ったんです。
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山田ルイ53世:それはそれでカッコ良すぎるやろ!
ひぐち君:台本持たずにセリフ完璧だったしね。
大海:自分としては稽古場で聞こえる声がアニメの“本物の声”なので、徹夜でセリフを覚えたんです。耳が幸せな稽古場です。
山田ルイ53世:私らがあまり稽古に来られないうちに恐れていた事態になっていますね。温度差を感じる。
◆梅棒・塩野拓矢の振付によるオープニングは必見!
塩野:今日はこれからオープニングのダンスシーンを練習しますから覚悟してくださいね。
――塩野さんは今回、出演もされますが、振付も担当されているんですよね?
塩野:はい。主題歌の振付をしたんですけどやっぱり主題歌の『溝ノ口太陽族』って名曲なんですよ。最初に振付を作って高木君に見せたら「やっぱりサンレッドを好きな人が振り付けるといいですね!」って言ってくれたんで、これが正解だと思っています。
――楽しみですね。振付で意識されたことは?
塩野:やりすぎないことと、無駄なことをあえてやることを意識しました。そこじゃないだろう! っていう変にカッコつけたりするところとか。みんなが楽しくできるように考えました。
山田ルイ53世:私は腰に爆弾を抱えていて、激しい動きができないのでそこはどうなってますか?
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ひぐち君:私もダンスは不安です。
塩野:そこはいい感じにしたので大丈夫です。音楽をつけて動きを入れていくとどんどん空気が『サンレッド』になっていくんですよ。しかもレッド役の高木君ができる限りマスク姿で稽古をしたいということで、最近はマスクを被ったまま稽古をしているんですが、短パン姿なのでもう“レッド”そのもの。
山田ルイ53世:それはストイックすぎんか。
ひぐち君:あのマスクをずっと被ってるってめちゃくちゃ大変ですよ。
◆“本物”キャストからのアドバイスで『サンレッド』愛が深まる
――稽古中のお話を聞いているだけで楽しい舞台がイメージできます。
山田ルイ53世:ヴァンプ将軍に関しては私が正解って気持ちでやっていますからね。なので佐野さん(脚本・演出)にキャラのことでとやかく言われずにすむっていうアドバンテージはあります。
ひぐち君:確かに演出面で何か言われたこと聞いたことない。僕は戦闘員1号役ですけど、佐野さんじゃなくて斧さん(タイザ役)から「ここは「キー」って言ったほうがいいですよ」ってアドバイス貰ってますね。
山田ルイ53世:斧さんはアニメのときからいろいろ言ってくるからなあ(笑)。
ひぐち君:斧さんはナレーションも含めていろんなキャラもやって研究されてるから。
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塩野:斧さんは新しくサンレッドに参加した僕らにとっては心力強い方ですよ。台本に書いてない裏設定とか教えてくれるし、戦闘員2号の話もびっくりしましたから。2号は非常勤で毎回、中の人が違うって設定なんですよね?
ひぐち君:そうそう。アニメでは戦闘員2号を東京タイツの清水聖さんがやってたんだけど、一回遊びでカタコトで喋ったことがあって、今回もそれを再現しようとしたりしてるよね。
山田ルイ53世:そんな設定なんや。ややこしいな(笑)。
――ヴァンプ将軍と戦闘員1号の会話にしか聞こえなくなってきました。
塩野:僕から見ると山田さんもひぐちさんも力が入ってないんですよね。頑張ってヴァンプ将軍を演じているんじゃなくて、もうここにいるのがヴァンプ様なんですよ。戦闘員2号の渡辺(隼斗)君と、「今回の舞台の肝はいかに早く“脱力”してサンレッドの空気に馴染むことだよな」って話してます。
山田ルイ53世:『刃牙』でいうところの“シャオリー(消力)”やな。
塩野:そうです。なんならここには舞台版『刃牙 THE GRAPPLER STAGE』で烈海王役の野間(理孔)君がいますからね。
山田ルイ53世:え? そうなの? どこどこ?
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――すいません。本題に戻ってください~。
◆A&Bルートで登場するキャラクターが変わる?
――髭男爵のおふたりは、役作りの必要はないかもしれませんが演技という点ではいかがですか?
山田ルイ53世:舞台に出るのは実は初めてです。アニメや映画、ドラマはちょこっと出させていただいたことはあるんですけど、映像の場合はカット割りがありますから勝手が違いますよね。舞台は(セリフを)頭から最後までちゃんと入れておかないといけないのでそこが大変やなと。あとは演出の方やスタッフの方におんぶに抱っこで言われた通り一生懸命やるだけです。
――実際に目の前であのヴァンプ将軍が動くわけですからね。
山田ルイ53世:今はTシャツと短パンで稽古していますけど、衣装とかヘルメットみたいなの被ったり、槍とか盾とか……なんか持つもの多いんだよなぁ。あと、正座シーンが多い。これはやってみて思いましたが、膝がヤバいです。
――腰だけじゃなくて膝も!? 満身創痍じゃないですか!
山田ルイ53世:あんなに正座がツラいってはじめて気づきました。だからレッドは我々に正座をさすんやと思って。そこでちょっと原作者のくぼたまこと先生の真髄というか、意図に気づけました。声を吹き込んでいるだけじゃ分からない、自分がヴァンプ将軍として動いてはじめて気づけたところです。正座をさせるほどレッドさんが怒ってんねんという気持ちが分かったんでそれは収穫です。
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ひぐち君:僕はヴァンプ将軍の隣にいることが多いんですけど、いつもの癖で「男爵様」って言わないように気をつけないとって思っています。衣装もね、大変なんですよ。
――アニメファンには人気のクッキングコーナーはありますか?
山田ルイ53世:あります。かよ子役の飯窪春菜さんとさっと一品作るコーナーがあります。ただ、どんなシーンになるのかはまだ分からないです。どうするんだろう?
――最後に意気込みをお願いします。
大海:カンパニーの一員としてお芝居できること、凄く幸せな時間だと思いながら稽古しています。一回一回の稽古を大切に、お客さまに楽しんで貰えるナイトールとしてお披露目できるよう頑張ります。是非、たくさんの方に見に来ていただきたいです。
山田ルイ53世:優等生すぎないか?
大海:僕、真面目ちゃんになっちゃうところがあるんです。それは先に伝えておきます。
山田ルイ53世:真面目なのはいいことだ。うん。
大海:もう少し仲良くさせていただくと、変なところも出てくると思うので幻滅しないでください!
山田ルイ53世:幻滅してないよ(笑)。
――ヴァンプ将軍とナイトールの掛け合いですね(笑)。
塩野:東京ドームさんの初企画が、ヒーローの聖地・シアターGロッソで『天体戦士サンレッド』って、いい意味で大博打ですよね。そこに熱い思いをひしひしと感じます。やりたくてやっている人たちと一緒に仕事をするって幸せなだと思うんです。稽古場もあたたかい雰囲気で進んでいますし、その想いに応えたいですね。
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ひぐち君:アニメでは「キー」ってセリフがけっこうあったんですけど、台本には「キー」が一個もないんです。本番でどれだけ入れられるかなと思っていますので、そこを楽しみにしてもらいたいのと、「Aルート」と「Bルート」があるので良かったら2回見に来てください。
山田ルイ53世:セリフ覚えたくないので、なんとか本番までに1ルートにします!
塩野:やめてください! 僕の出番が減っちゃいますよ!
山田ルイ53世:そうか。シークレットキャラの出番が減るのはよくないな。仕方ない。セリフを覚えるか。
――ヴァンプ将軍は完全に仕上がってますね。楽しみです。
山田ルイ53世:舞台化のニュースが出てもおかげさまで温かいコメントが多くて良かったなと思っています。高木君とも久しぶりに会いましたけど、当時と変わらない雰囲気だったんで、あのアフレコ現場の空気でやるつもりです。みなさんの夢を壊さないように頑張っていこうかなと思っています。
(取材・文/高畠正人)
『くぼたまこと画業30周年記念 実写版 天体戦士サンレッドショー』は、10月31日~11月8日東京・東京ドームシティ シアターGロッソにて上演。10月30日に同所にて『天体戦士サンレッド舞台化記念! フロシャイムGロッソ支部決起集会』を開催。
※高木俊の「高」は「はしごだか」が正式表記
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