16日公開の映画『わたしの知らない子どもたち』より、主人公・琴子(小八重葵美)と彼女の担任教師・曽根(二階堂ふみ)の運命を大きく左右する、物語の鍵となる本編シーンの映像が解禁された。 解禁された本編映像で描かれるのは、東京大空襲の過酷な渦中、帰らぬ親をただじっと待ち続ける少女・琴子(小八重)と、彼女を心配して寄り添う担任教師・曽根(二階堂)の姿。幼い琴子を案じ、孤児院へ連れていこうと必死に手を差し伸べる曽根だが、親が帰ってくることを信じて疑わない琴子はかたくなに拒む。迫り来る現実と混乱の中、曽根は説得をあきらめざるを得ず、大切な生徒である琴子を一人その場に残して立ち去ってしまう――。
曽根と別れた後、過酷な混乱期をたった一人で生き抜く危険に直面した琴子は、自らの身を守るために髪を刈り落とし、“少女”を捨て“少年”として生きていく決意を固める。一方、生徒を見捨ててしまった後悔を抱えながら生きる曽根もまた、のちに琴子の父親の友人から「琴子を探している」という知らせを受けたことで、止まっていた時間が動き出し、再び彼女を探す旅へと踏み出していく。互いの運命が交錯する、物語の鍵を握る重要なシーンだ。
続きを読む
今回解禁されたシーンでは、白組のVFXにより空襲後の焼け野原や混沌(こんとん)とする街並み、人々の生活感が細部までリアルに表現されており、見る者を一瞬でその時代へと引き込む重厚な映像世界を作り上げている。
やがて琴子は、少しの間、子どもたちの面倒をみる漁師の山井甚平とけいの老夫婦(役所広司、田中裕子)、闇市で暮らすことを余儀なくされた子どもたちを受け容れる新興ヤクザの組長・菊沢(岡田准一)や、散り散りになった子どもたちを迎え入れる孤児院の館長・鷹間(吉田羊)、子どもたちの理解者になろうとする新聞記者・諸積(坂東龍汰)など、さまざまな大人たちに出会い、戦後の過酷な社会の中でそれぞれの選択で子どもたちの未来を繋いだ大人たちに支えられていく――。
続きを読む
併せて解禁された特別映像では、本編映像とともに、過酷な時代に向き合ったキャスト陣がそれぞれの言葉で作品への熱い思いや「今の時代こそ届けるべき」魅力を明かすインタビューが公開。
曽根を演じた二階堂は「戦争を肯定する言葉であったり、理屈みたいなものを目にする機会がすごく増えた印象があって」と現代の情勢へ思いを巡らせ、「もちろん子どもたちにもこの作品を見て戦争というものを感じてほしいですし、それと同じくらい、今この社会を作っている大人たちがこの作品を見るべきだと思いますし、戦争というものは本当に起こしてはいけないというのを、真っ直ぐにこの作品とともに言えるような、そういう風になってほしいなって思います」と力強い思いを話し、今を生きるすべての人々へ向けた切実なメッセージが込められていると語る。
続きを読む
さらに、役所は「心にとどまるということがその映画の一番の力だと思うんですよね。映画の中に込められた想いというものを少しずつでもいいから吸収していく。西川美和監督の映画は何かきっと大人にも子どもにも心に強い印象を残していくような気がします」と語り、映画が持つ確かな力と世代を超えた広がりへの期待を込めた。
音楽家で琴子の父を演じた竹野内豊もまた「本当にこの作品で過去を知ることによって、少しでもより良い未来へと繋げていくことができたら素晴らしいんじゃないのかなと感じるものがありました」と、過去を知り未来へ紡ぐことの大切さを訴える。
続きを読む
また、岡田は、西川監督の演出力を称賛しつつ「『見て面白かったね』の先にある感情を呼び起こしていくのが、孤高の監督のひとりだと思うので」と前置きし、「世界が混乱していく中で、どういう風に日本の映画として伝えていくことがあるのか。この作品がたくさんの人にどういう意味をなしてくるのか。今の時代だからこそ、強い意味を持ってくると思っています」と、混迷する現代社会における本作の普遍的な価値を力説した。
坂東は、自身も脚本を読むまで戦争孤児の現実を詳しく知らなかったと明かし、「戦争が本当に起きていたことって、自分から学びに行ったり知ろうとしないと分からないことだと思います」と素直な実感を語りながら、「作品を作って発言していくということはすごく意味のあることだなと感じました」と、表現者として歴史を伝え広める意義をかみしめた。
続きを読む
吉田は「戦争を知っている世代がいなくなることの怖さというか、伝える温度が失われていくということだと思います」と時代の移り変わりに触れつつ、「ただ私たちに何ができるんだろうということを考え続けることが大事で、小さいもの、弱いものに目を向けて、彼らがどうやったら幸せに暮らせるかということを考える。実はそれが平和への近道なんじゃないのかなという風に思いました」と、身近な視点から平和の原点を問いかける。
映画『わたしの知らない子どもたち』は公開中。
記事一覧に戻る