日本を代表するSF作家・星新一の生誕100年を記念して、朗読劇『星新一が描いた未来』が9月30日から上演される。今回の公演では、多彩な星新一の作品をテーマの異なる3つのプログラムで構成し、回替わりで上演。プログラムごとに異なるキャストも登場し、作品と俳優の組み合わせによって、それぞれの物語が持つ魅力を引き出す。主演を務めるのは、4人組グループ・ふぉ~ゆ~のメンバーで、11月にはグループでのCDデビューも控える福田悠太。福田に星新一作品との出会いや魅力、さらにはグループのデビューへの思いを聞いた。
◆読書への先入観を壊してくれた星新一作品
――本作への出演が決まったときのお気持ちを聞かせてください。
福田:いつか星新一作品に携われたらいいなという思いがあったので、実現するものだなと思いました。ふいにきましたね、朗読劇が。なので、お話を聞いたときは、「ラッキー」というのが率直な感想です。
――台本をお読みになった印象は?
福田:文字で読むだけでなく、何人もの俳優が朗読するので、小説にはないリアルなテンポ感が出るなと思いました。より立体的になるだろうなと感じました。
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――難しさも感じましたか?
福田:それはなかったです。無責任な言い方になってしまうかもしれませんが、これを面白くしなくてはいけないと気負うところが今回はないんですよ。読んだだけでも面白いのだから、(朗読劇にしたら)絶対に面白くなる。これまであまり星新一作品の朗読劇はなかったと聞いて驚きました。ドラマ化はされたことがありましたが、どうしても文字で追った方が面白い世界観だと思うので、そう考えると朗読劇というのはとてもいい塩梅になるのかなと感じています。いいところ取りだなと思います。
――福田さんの星新一作品との出会いはいつ頃だったのですか?
福田:10代の後半から20代前半くらいだったと思います。地元に1人はイケてる友達っているじゃないですか。グループにモーメントを持ってくるような、その人を中心にグループが発展していくという人です。そんな友達が「これ知っている?」と言って持ってきたのが、星新一の『ボッコちゃん』でした。僕らにとって浅草のファッションリーダーです(笑)。
――そのご友人に紹介されて読んでみたんですね(笑)。
福田:当時、本を読むことに対して抵抗感のある時期だったのですが、『ボッコちゃん』はスッと読めたんです。多分、一篇が短いから集中力が続くし、本って難しくないんだと思えたんだと思います。自由さや遊び心があるところに惹かれました。どうしても本、読書というととっつきにくいイメージがあったのですが、それを崩してくれたのがショートショートだったような気がします。
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――それからはいろいろな作品を読むようになったんですか?
福田:そうですね。星新一さんの作品は何冊読んだか分からないくらい読んでいると思います。図書館で順番に借りるということをやってました(笑)。とにかく面白いですよね。
――どんなところにその面白さを感じているのですか?
福田:その話によって世界観が違いますし、裏切り方も違うし、裏切ると思ったら裏切らなかったり…すごくワクワク感があって楽しい。今回は、どんなギミックなのかなと考えながら読んでいたのを覚えています。
――星新一没後29年になりますが、今の若い方にも楽しめる作品になりそうですよね。
福田:そうですね。そう考えると、僕の仕事もとてもいい仕事だなと思います。
◆3つのプログラムが展開する本作は「朗読劇ならではの面白さ」
――今回は、3つのプログラムでお届けするというのも面白い試みです。演じる側としては、3つのプログラムは楽しみが大きいものですか? それとも難しさがありますか?
福田:嘘をついても仕方ないので正直に話しますが…。最初にデータで台本をいただいて、その後にマネージャーが読みやすいように紙に印刷してくれたんです。その紙の束がすごく分厚くて、正直、ゾッとしました(笑)。
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――それほど分厚かったんですね。でも、観客としては楽しさ3倍です。
福田:そうですよね。でも、それも朗読劇だからこそできるやり方なのかなと思います。役替えをしたり、ストーリーの違う物語を上演するという企画もよくありますが、そういう作品を見ると、僕は「大変そう」が勝ってしまうんですよ。演じる側の目線で見てしまうので、どうしてもその苦労を想像してしまって。でも、朗読劇ならば、それも面白いと思えますし、お客さまも何回も足を運んでいただけたらうれしいです。
――ショートショートが各プログラムで10作品以上朗読されますが、今回の朗読の中で福田さんが特に好きな作品はありますか?
福田:『ボッコちゃん』は思い入れがあります。『午後の恐竜』や『殺し屋ですのよ』も昔、読んだことを覚えていますね。
――まだ星新一作品を読んだことがない方にオススメするとしたら?
福田:やっぱり『ボッコちゃん』かな。ショートショートは、あっという間に読み終わるんですよ。気づいたら次の話が始まっていて、気づいたらそれも終わっているというように、どんどん読み進めてしまう。爽快な読後感が味わえます。本を読むのに慣れていない人も読みやすいので、どの話でも本を読む自信につながるのではないかと思います。
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――今回、星新一生誕100年の節目での上演になりますが、そのタイミングで主演されることについては、いかがですか?
福田:光栄ですね。ただ、正直なところ、朗読劇の主演ってなんだろうとは思いますが(笑)。だから、最初は「星新一役?」とも思ったんですが、そんなわけないか、と(笑)。とりあえず、主演と言わせてもらっていますが、気張らずにいきたいと思います。素晴らしいキャストの皆さんもいらっしゃるので、その方たちの大きな船に乗るつもりで、朗読劇を楽しみたいと思っています。
――共演の皆さんの印象や今回の共演での楽しみを教えてください。
福田:しゅうちゃん(宮崎秋人※「崎」は「たつさき」が正式表記)とは、以前に一度、お芝居をしたことがあるので、こうしてまたご一緒できるのがすごく楽しみです。ほかの皆さまは初めましてなんですよ。
――三浦涼介さんとは初めてですね。
福田:初めてです。もちろん、お芝居を拝見したことはありますし、共通の友達もいますが、そうした意味でも楽しみです。
――上演台本・演出の板垣恭一さんとご一緒する楽しみは?
福田:緊張しますね。板垣さんとも初めてなんですよ。まだお会いしたことがないので、しゅうちゃんにどんな稽古になるのか、どうしたらすぐに仲良くなれるのかを聞いておきたいと思います。稽古からいろいろと吸収したいですね。
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◆サプライズでのデビュー発表に戸惑いも「これまでと同じく『ふぉ~ゆ~らしく』でいいんだな」
――11月にはふぉ~ゆ~のCDデビューも決まりました。今後の活動に向けての意気込みや、やりたいことを聞かせてください。
福田:デビューできることによって、これまでできなかったことができるかもしれないと思うとワクワクします。少しでもいろいろな方にグループを知っていただけたら、僕たちのチャンスも増えますし、やれることも増えると思うので、幅が広がるように頑張りたいです。
――念願のデビューですもんね。
福田:そうですね、ただ複雑なのが、デビューする直前に「僕たちふぉ~ゆ~は、デビューしないぞ」と心に決めてこれから活動をしていこうという中でのサプライズだったんですよ。
――そうだったんですね。ほかのメンバーの皆さんも含めて、「デビューをしたい」という目標を強く持っていた印象でした。
福田:確かにそうなんですが、「15周年の後は、デビューをしないで自分たちの道を進んでいこう」という話をしていたんです。「デビューだけが全てじゃない。自分たちの道を作っていきたい。その道をこれから頑張ってやっていきます」と。そうした中で日本武道館での15周年ライブで、サプライズでCDデビューが発表されたので、みんな「ちょっと待って!」って(笑)。「会社の人たちとも、この先のことを話したのに!」となったんです。僕たちの計画がまたいろいろと変わって、路線変更だ、と。もちろんそれは嫌なものではなく、幅も広がり、チーム全体がすごく明るくなった感じがして楽しいですね。
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――さすがにもう、デビューの実感は湧いていらっしゃいますか?
福田:発表があって1週間くらいは、「そうか…」と整理がつかない感じでしたが、それもだんだんと着地してきたように思います。いかんせん、40歳なので、そこまで浮かれるのもちょっとどうかなというのもあって(笑)。ただ、自分たちがやってきたことを会社が認めてくれて、その上で、今後も僕たちらしく活動をできるというのはすごくうれしいです。これまでふぉ~ゆ~として勝手に活動してきて、ここまでこられたけど、ここからは会社の思った通りにやってもらいますという話では全然ないので、一緒になってふぉ~ゆ~を盛り上げられると思うとすごくうれしいですし、楽しみです。なので、今はもう現実味を帯びてきています。僕は、こうして取材をしていただいていても、お話の中からアイディアをもらって、ふぉ~ゆ~でこんな面白いことができるのではないかと考えてしまうタイプなのですが、その規模が少し大きくなったように思います。これまでだったら「これは絶対に無理だな」ということも、今はストックしておこう、と。
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――先ほど路線転換とおっしゃっていましたが、それは道筋が見えてきたからですか?
福田:結局、これまでと同じく「ふぉ~ゆ~らしく」でいいんだなというのが分かった感じです。なんで路線転換しなくてはいけないかと思ったかというと、デビューしたことがないから、デビューするとどうなるか分からないという不安が勝ったからなんですよ。
――なるほど。それはメンバーの皆さんとも共通して考えているところなんですね。
福田:そうですね。楽しみですね。MVも100万回再生を目指しているんですが、ふぉ~ゆ~らしいものを観ていただいて、魅力が伝わるようなものになったらいいなと思います。CDも5万枚が目標です。ただ、数字にはこだわらないようにしたいと思っているので、みんなで楽しめるエンターテインメントを自分たちで作っていきたいです。
――そうした中で、俳優活動については、どんな位置付けなんですか?
福田:この会社に自分が幼少期からいるからだと思いますが、歌ったり踊ったり、デビューしていないと居場所がないような考えが根付いているんですよ。でも、そうした場所を自分たちがひっくり返して作っていこうと思って活動をしてきました。お芝居に関しては、セリフを覚えて、舞台の上に立てば、そこに自然と自分の居場所がある。台本とお芝居、みんなと一緒に作っていくと、そこに居場所があるというのがすごく楽しいです。僕はここで勝負して役者としてやっていくという感じではなく、居場所がそこにあるという感覚なんです。
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――それはグループの皆さんで一緒に出演するときも、お一人で出演するのも変わらないですか?
福田:言葉で説明するのは難しいのですが、四人で一緒にお芝居をしてるときと、一人で出演するときは明らかに違うんですよ。その明らかに違うものが何なのかというと、説明はできないのですが、もしかすると信頼感や責任なのかなと思います。僕が一人で出ていたら、「ふぉ~ゆ~のメンバー」というものを背負っているようにも思いますが、四人で一緒に出ていれば、それが分散される。「誰かが疲れている時はみんなで助け合い」みたいなこともできる。なので、そうした信頼感や安心感、比重というものが変わってくるのかなと思います。どちらがいいというわけでもないですが。
――俳優としてどんなところにやりがいや面白さを感じていますか?
福田:できることが増えたり、考えられるようになったり、誰かのお芝居を盗めるようになったり、自分は絶対にやらないと決めていることもできるようになったりすることが楽しいです。自分はこの人を演じていて、この場を成立させるためには、こう動いたら成立できる、というような、アハ体験もあります。
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――では、本作のタイトル『星新一が描いた未来』にちなんで、福田さんが思い描く未来は?
福田:今は「湿度」。湿度は一旦なくなった方がいいですよね(笑)。それはなくなってくれたらいいな。
――確かにそれはそうですね(笑)。福田さんの「将来こうなりたい」という夢や目標は?
福田:たくさんあるんですが、あまり言わないようにしています。小っ恥ずかしいから(笑)。
――そのたくさんある夢が叶うことを楽しみにしています! 最後に、舞台を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
福田:星新一さんの作品を朗読劇にするということで、たくさんの方が期待してくださっていると思います。僕もその一人で、この作品がどんなものになるのか、すごく楽しみです。まずは、稽古を通して素敵なものをお届けできる形に作り上げていき、一緒に劇場で楽しめたらと思います。
(取材・文:嶋田真己 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])
星新一生誕100年記念朗読劇『星新一が描いた未来』は、9月30日~10月7日東京・IMM THEATERで上演。
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