8月27日から東京・ユーロライブにて、THE ROB CARLTON『VISITORS』(作・演出:村角太洋)東京公演が開幕する。9月11日からは大阪・ABCホールでも上演され、京都を拠点に据えながら東西を横断して話題を集めるTHE ROB CARLTON。本音と建前が交錯する会話の応酬、人々の可笑しみと哀切が活写された笑い。15周年という節目に上演される本作は、そんなカンパニーの持ち味がギュッと濃縮された、ミニマムかつ濃密な二人芝居だ。実の兄弟でもあるボブ・マーサム(村角太洋)と村角ダイチが演じるクセありのキャラクターたち。果たして、1人の男の元を訪れる“訪問者たち”の目的とは? 本作の見どころについて2人に話を聞いた。
■訪問する側とされる側に渦巻く思惑 珠玉の心理攻防戦コメディへ!
――15周年となる本公演で二人芝居を上演。どんな経緯があったのでしょうか?
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ボブ:これまでも何本か二人芝居はやってきたんですけど、いつか本公演として腰を据えてやってみたいという思いがあったんです。ユーロライブとABCホールは大きさも雰囲気も全く異なりますが、この数年の経験で必ずしも同じサイズ感の会場である必要はないな、という感覚や手応えを得たこともあり、本公演として革新的な二人芝居をやりたいと思ったんです。
――『VISITORS』は文字通り、訪れる側と迎える側の攻防を描く本作ですが、その構想のきっかけは?
村角:この人の力を借りた方が有利だ、という人物っているじゃないですか。業界のドンとかキングメーカー的な。その力を借りるべくいろんな人が訪れるわけですけど、迎える方は当然1人なわけですよね。そんな中で同条件の訪問者の中から1人を選ぶとなった場合、何を元にジャッジするんだろうと……。そこから話を膨らませました。僕は訪れられる側を演じます。
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ダイチ:つまり僕が訪れる側=VISITORSを演じるのですが、複数の役を演じ分けるのは本当に大変なんですよ! ここ3作品くらいずっとやってはいるんですけど、今回は自分と同世代の男性と、少し上の男性と、さらに少し上の女性の3役を演じる予定です。キャラクターとかセリフよりも、いかに衣装を早く着替えられるか、ってことをまず考えましたね(笑)。
ボブ:そう、早替え! 舞台裏でいかに早く着替えて、何事もなかったかのようにしれっと舞台上に出てこられるかって、いつの時代も面白いことだと思うんです。映像では編集ができるところを編集なしでやるわけですから。
ダイチ:大変なんですけど、大変なことをやるってこと自体が舞台の面白さでもありますよね。
ボブ:あと、この数年の過去作品でダイチが様々なキャラクターの演じ分けを達成してきたこともあり、「兼ね役ができる俳優」という印象も定着するとよいなとの希望も込めまして。
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ダイチ:そうですね。女性役をやったりと、バリエーションも増えました。意識的に演じ分けをするというよりは、日常の中でモデルの引き出しを増やしていくような感覚なんですよ。これまで出会ってきた人とか、電車の中にいる人とか、言ってしまえば誰かのモノマネなので、「ああ、こういう人いるいる!」って楽しんでもらえたらなって…。
ボブ:やはり兄弟ですから、同じ環境で育っていることもあって、共通の経験や言語や認識も多く、キャラクターのすり合わせが早いというのも強みですよね。僕がイメージする訪問者たちのクセ者像をダイチがスピーディーに体現してくれています!
■阿吽の呼吸、伝達のスピード 兄弟という強みを活かして
――まさに兄弟ならではの阿吽の呼吸ですね! 他に兄弟でクリエーションに取り組むうえで感じていることはありますか?
ボブ:1番は必要以上の気を遣わないということですね(笑)。LINEの連絡一つとっても、ものすごく簡略化したもので済むというか……。極端な話、「あれをやっておいてほしい」、「これはどうする?」というようなことの、「あれ」や「これ」の具体的な説明を省いても大体伝わるんですよ。その分、自分の持ち場である作・演出面にリソースを割けるのは有り難いですし、コミュニケーションが早いということはやはり大きいですね。
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ダイチ:それはすごくありますね。僕は出演以外に音楽も担当しているのですが、どういう音楽を作るかということについても話が早いんですよ。舞台の音楽って、本来はとても複雑で作品の内容を把握していないと作りにくいものなんですけど、僕はキャストでもあるし、全ぼうが見えていなくても、ボブが「こういう風な雰囲気がいい」としているものが何となくわかるんですよね。
ボブ:そうそう。だから、必要最低限のやり取りだけで済む。
ダイチ:最近はほとんど何も聞かずに音楽を作って、「これでいこう」って渡す、みたいなことも増えてきましたね。文句言ってきてないからOKなんだな、みたいな感じで(笑)。通常のクリエーションだと5やらなあかんところが1で済むとか、そこはメリットとして大きいですよね。
ボブ:メリットがあるということは、デメリットもある?!
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ダイチ:デメリットってほどではないけど、あくまで兄と弟なんで、それはもう兄が絶対というか……。弟としてはやっぱり「兄の決定について行くぞ」という部分はありますね。小さい頃からそういう風に育ってきたので。
ボブ:しかも、僕とダイチは年子ですから、物心がついた時にはすでにそこにいる存在なんですよ。他のキャストの方もいる現場だと、たまに「ダイチにだけ態度大きくない?」とか言われることもあるんですけど、いや、もうそこは兄弟だからいつもの感じでやらないと逆に調子狂うというか!(笑)。
ダイチ:落語とか歌舞伎とかの世界では、それこそ師匠と弟子とか、兄弟子と弟弟子とかきっちり線引きがされていたりもあると思うんですけど、ここはロブカールトンですからね!(笑)。僕らが作っているもの、僕らがやっていることはこの関係、この形の方がいいものが作れるしやれるっていうことなんだと思います。
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ボブ:もちろん、クリエーションにおいては対等ですし、ああだこうだ言いながら作っていく面白さもあります。
ダイチ:僕には「村角太洋」という人間の作品を世に出す手伝いをしたい、という感覚もあったし、「自分がいてプラスになるなら」という気持ちでやってきた部分もあったんですよ。だから、先日外部のプロデュース公演として参加させていただいた、爍綽と『裏緑特技悲喜話』で、兄の憧れである三谷幸喜さんがアフタートークに来てくださった時は自分のことのようにうれしかったです。両親も泣いていましたけど(笑)。
ボブ:三谷幸喜さんがいなければ、演劇をやっていないと思うくらい僕にとって大きな存在だったので、本当にうれしかったですね。ご自身のコラムでも言及していただいて、もう家宝ですよ。これからも自分たちの演劇をやっていくぞ、という気持ちになれた出来事でしたね。
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■村角ブラザーズ、ゆくゆくは海外へ!
――兄弟でのクリエーションの歩みやその深みを感じるエピソードの数々でした。ここ数年、THE ROB CARLTONは京都を拠点に据えながら東京でも積極的に公演を重ね、東西を横断して話題を集めています。最後に今後の展望をお聞かせいただけますか?
ボブ:これまで関西を拠点に長く活動してきたわけですけど、関西の劇団とか京都の劇団とかっていうことを強く意識して作品を作っているわけではなくて、「日本の劇団になりたい」という思いでやってきたんですよね。そうなると、やはり東京でも公演をやった方がいい。そう思って、東西での活動を精力的にやってきました。THE ROB CARLTONは3人の小規模団体ですからいろいろ難しい部分もあるのですが、多少無理してでも、より多くの方に作品を届けられるようにチャレンジしたいと思っています。
ダイチ:最初は「兄が作品を世に出す手伝いができたら」くらいに思っていたわけですが、兄と一つふたつと作品を作るうちに、僕自身にも俳優としても自我が生まれたというか、「コメディになくてはならない役者になりたい」という展望を抱くようになったんです。面白い作品をより面白くできる職人でいたいので、職人技を突き詰めていきたいですね。兼ね役や早替えの技術も含めて!(笑)。
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ボブ:演劇界の兼ね役&早替え俳優と言えば、村角ダイチ! そのくらい頼りにしています! そして、ゆくゆくは海外の方にも観ていただきたいですね。
ダイチ:海外での反応気になりますね。
ボブ:THE ROB CARLTONの作品は日本語の面白さにもこだわってはいるのですが、ベースとしては人間の小ささやしょうもなさ、滑稽さみたいなものを引きで見て客観的に笑う、みたいな造りなので、仕様を整えれば、海外でも上演ができるんじゃないかと思うんです。英語圏内もですけど、韓国とか中国のアジア圏の演劇も盛んになっていると聞いていますので、現地の方でやってもらうことでどんな展開が見られるのかも気になります。そして、ゆくゆくはロンドンで公演ができたら最高だなって思っています。
ダイチ:それこそ、兄弟2人で演劇をやっている人、世界中を探したら結構いるんじゃないですか?
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ボブ:なんとかブラザーズみたいな感じで、世界のどっかの兄弟が『VISITORS』をやってくれたら最高ですね。そのためにもまずは日本の劇団、日本の兼ね役・早替え俳優になれるようがんばります!
(取材・文:丘田ミイ子 写真:明田川志保)
THE ROB CARLTON 20F『VISITORS』は、8月27日~30日東京・ユーロライブ、9月11日~13日大阪・ABCホールにて上演。
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