塚本晋也監督の最新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』より、タイトルにもつながる重要な本編映像が解禁。あわせて、ギャスパー・ノエ、小島秀夫ら著名人から絶賛コメントも到着した。 原作は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが、自らの戦争体験と帰還後の葛藤をつづったノンフィクション。ネルソン氏はその体験をもとに日本全国で1200回以上の講演を行い、「ほんとうの戦争」を語り続けてきた人物だ。その証言をもとに、塚本監督が「戦争加害者の傷」というテーマに真正面から挑んだ。
主人公アレン・ネルソンが、女子小学生から投げかけられた運命的な質問に衝撃を受け、激しく心を揺さぶられる本編映像が解禁された。自身の戦争体験を語り続けたアレンの活動の原点となる、重要な出来事を描いた一場面だ。
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ベトナム戦争から帰還したアレンは、戦場で目にしたもの、そして自らが犯した殺戮行為によって深いトラウマを抱えていた。大きな音や暗闇に過敏に反応し、わずかな気配にも敵兵の姿を重ねてしまう。
戦場の記憶に苛まれ、家を追われたアレンは、23歳の若さでホームレスとなっていた。そんな彼のもとに、幼なじみで小学校教師をしているダイアンが現れ、「生徒たちの前でベトナム戦争の体験を話してほしい」と頼む。それは、戦争から帰還したアレンが初めて、自らの体験を人前で語る機会だった。
映像では、ダイアンにうながされ、しぶしぶ教壇に立ったアレンが、小学生たちを前に「ベトナムのジャングルはものすごく暑かった」「虫がうじゃうじゃいてとても大きくて、ハエも多かった」と戦場の記憶を語り始める。さらに、共に戦った海兵隊の仲間の中には死んだ者もいると話しながらも、「でも君たちのパパは生きて帰ろうと戦ってるはず」と、子どもたちの父親を気遣う言葉を添える。
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一方、子どもたちから飛び出すのは、戦争を知らない子どもならではの無邪気な質問。「戦場でママが恋しくなった?」と聞かれたアレンは、「もちろん」と答える。さらに、「戦いの途中、トイレはどうするんですか? ウンチしたくなったら?」という質問には、「ヘルメットに出す」と返答。教室には笑い声が広がり、緊張していた空気が和らぐ。
しかし、ダイアンが「他に質問は?」と問いかけた直後、ひとりの少女が手を挙げる。「ネルソンさん」と呼びかける少女の口から発せられたのは、本作のタイトルにもなった衝撃的な一言だった。「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」。長い沈黙に包まれた教室で、少女はもう一度問いかける。「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」。戦場を知らない子どもの無垢な問いが、アレンの心に深く刻まれた戦争の記憶を呼び起こす。
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戦場で人を殺したという事実と向き合いながら、その後の人生をどう生きていくのか。この問いを胸に、アレン・ネルソンはその後、自らの戦争体験と、戦争が人間にもたらすものを語り続けた。今回解禁されたのは、そんなアレンの原点ともいえる場面。「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」という一言は、戦争によって“加害者”側に立たされたアレンが、自らの戦争体験と向き合い、人生を歩み直す契機となる、本作を象徴する重要なシーンだ。
あわせて、ひと足早く作品を鑑賞した著名人からコメントが到着した。『CLIMAX クライマックス』や『VORTEX ヴォルテックス』で知られる映画監督のギャスパー・ノエは、「私の友人である塚本晋也が、アメリカとベトナムを舞台にこの映画を撮ると知ったとき、私はとても驚いた。しかし、今の帝国主義が抱えるこうした野蛮な一面を描き出すには、塚本のような大胆な日本人監督こそがふさわしかったと思う」と塚本監督を絶賛した。
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また、ゲームクリエイターの小島秀夫は、「戦火が身近に広がりつつある今、誰かが創らねばならなかった、誰もが観なければならない映画だ」と、戦争をめぐる問いを投げかけながら、本作の意義を熱く語った。
さらに、作家の永井玲衣は「あまりに、あまりに、あまりに耐えがたい。だが、戦争のことを知りたければ見るべきだ」とコメント。ミュージシャンの春ねむりは、「搾取と抑圧・殺戮・暴力を内包する社会システムのうちに生まれ、この胎の奥を怒りと憎しみに喰われながら、それでも生きていかねばならない。もうほかの誰からも奪いたくないと望む意志を手に入れろ。その先に戦場以外の未来がある」と、力強い言葉で作品への思いを寄せている。
映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』は、9月11日公開。
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※各界の著名人からのコメント全文は以下の通り。
<コメント全文>
■ギャスパー・ノエ(映画監督)
この映画は、現代人もまた過去のいかなる時代の人間にも劣らず野蛮な存在であることをあらためて突き付けてくる。そして、まだ若い青年たちをジャングルや戦地に送り込めば、彼らは人間ではなく、爬虫類のような生き物へと変えられてしまうのだということを。
私の友人である塚本晋也が、アメリカとベトナムを舞台にこの映画を撮ると知ったとき、私はとても驚いた。しかし、今の帝国主義が抱える野蛮な一面を描き出すには、塚本のような大胆な日本人監督こそがふさわしかったと思う。
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幸いにも、主人公(そして自伝の著者でもある)ネルソンは、自身が背負ったトラウマと、その過去の行為を後世へと伝えることによって、遅ればせながら、確かな一端の救済へとたどり着く。この深く実存的な旅をスクリーンに刻み、未来の世代へと手渡してくれたことに感謝したい。
■小島秀夫(ゲームクリエイター)
戦争とはなんなのか? 人をどう変えるのか? どこまで人を壊すのか? 戦火が身近に広がりつつある今、誰かが創らねばならなかった、誰もが観なければならない映画だ。そして、“戦争加害者”でもあり、“被害者”でもあるネルソンさんの証言に耳を傾けるべきだ。皆が擬似体験することになる。悍ましさを。怖ろしさを。悔悟の涙を。それは、まさに映画のひとつの役割でもある。その後で、議論するだろう。いつまでも、語り継ぐに違いない。未来に繋ぐために。「ネルソンさんが、何故、人を殺したのか?」を。
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■永井玲衣(作家)
あまりに、あまりに、あまりに耐えがたい。だが、戦争のことを知りたければ見るべきだ。あなたが戦争を愛さないのならば、見るべきだ。戦争は永久に人間を壊してしまう。そのことを、わたしたちは本当にわかっているのだろうか。
■春ねむり(ミュージシャン)
搾取と抑圧・殺戮・暴力を内包する社会システムのうちに生まれ、この胎の奥を怒りと憎しみに喰われながら、それでも生きていかねばならない。もうほかの誰からも奪いたくないと望む意志を手に入れろ。その先に戦場以外の未来がある。
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