クランクイン!
 哲学者・宮野真生子さんと人類学者・磯野真穂さんによる同名タイトルの往復書簡を原作に、濱口竜介監督が映画化した『急に具合が悪くなる』。フランスと日本が舞台というワールドワイドな設定に変更しているものの、原作のスピリットはそのままに、心の琴線に触れる多彩な人間模様が描かれている。 原作は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者・宮野真生子さんと、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者・磯野真穂さんが交わした20通の往復書簡。時に人生のタイムリミットが迫る恐怖を吐露するも、それを振り払うように最期まで“がん患者”ではなく“哲学者”として問い、語り続ける宮野さん、そんな彼女にさまざまなボールを投げて、宮野さんにしか見えない世界を引き出していく磯野さん。読んでいるとき、お二人の思考力や熱量あふれるやりとり、そして絆に圧倒され、読後はこれまでの人生で起きた“出会い”について改めて考えさせられた。
 そしてこの宮野さんと磯野さんのソウルメイトとも言えるような関係性、スピリットは、映画の2人の主人公、介護施設ディレクターのマリー=ルーと、舞台演出家でステージⅣのがん患者である真理にも同じように宿っている。運命的に出会い、互いに影響し合う2人を軸に、ポジティブなコミュニケーションの輪がたくさん生まれていく。
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